家を塗る塗料は撥水性か?親水性か?
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撥水塗料について
塗装業界において親水性塗料のシェアが大半を占めているのは周知の事実ですが、近年さまざまな業界で撥水効果そのものが注目され始めています。
撥水効果のメカニズム
水を弾くかどうかは接触面の形状に大きく左右されます。
水分に接触する面が平らな状態に近ければ水は接触面を覆うように広がります。
しかし、接触面に規則的な凸凹があったりして接触面に触れる面積が少ないほど、疎水効果(水に馴染みにくい分子同士が水にはじかれ、集まる現象)が高まり、水を弾くようになります。
撥水・防水・耐水の違い
この3つは紛らわしいので、混同しないようにそれぞれの機能をおさらいしておきましょう。
撥水
「撥水」とは「素材表面が水を弾く機能」を持っていることを指します。
水が素材表面に吸着することなく、球体となって丸まり転がり落ちていく状態が「撥水」で、この性質のことを「撥水性」と呼びます。
防水・耐水
「防水」や「耐水」は、「水を通さない機能」のことを指します。素材の表面だけでなく内部や裏側まで水が入り込まないようにすることです。一般的には「防水」と「耐水」の意味や用途に、大きな違いはありません。
撥水と親水の境界
親水性と撥水性における「濡れる」と言う状況は、下の図のように、水滴の端の接線の角度「接触角」によって数値化して表すことができます。接触角の値で親水状態と撥水状態を分けることができます。
撥水性塗膜と親水性塗膜の効果
撥水性塗膜と親水性塗膜では効果が大きく異なります。それぞれの機能と効果を理解しておきましょう。
撥水性塗料は外壁の表面で丸まった水滴が汚れを絡め取って地面に落とします。水滴が丸まりやすくなるように外壁の塗膜表面は凸凹としています。
親水性塗料は雨水が外壁表面をジワジワと覆い、外壁の汚れを浮かして洗い流します。雨水の幕が全体に広がるように塗膜表面はなだらかになっています。
掘り下げうんちく
今回のテーマである「撥水」とは例えるなら車のボディコーティングのようなイメージや、蓮の葉の上を水滴が滑り落ちるような効果があります。
撥水塗料の仕上がり
撥水性塗膜は親水性塗膜に比べ、艶が少なく「微潤艶」といい、艶消しに近いモダンでシックな仕上がりになります。(完全な艶消しではありません。)
※落ちついた仕上がりで和風住宅との相性◎
リシン仕上げのモルタル、塗り壁調の下地、吹き付けスタッコなど
近年では艶アリ・艶無し共に親水性塗料もでております。